目が澄んでいて

7月も半ばを過ぎたのに台風のせいかとても寒かった21日、寂しさがふと首をもたげた。
駅を出て体育館に向かうあの長い坂道の途中で、母が恋しくなりました。
母がくれた黄色い折りたたみ傘を差していたら急に会いたくなって。私は実家暮らしだから帰れば会えるし、むしろさっきまで会っていたのにふと恋しくなった。今すぐ会えないなんてありえなかった。
それから母が死んでいなくなってしまった世界のことまで考えたけど、もう恐ろしくてすごく泣きたくなった。


昼休みに親元を離れてお姉ちゃんと2人暮らしをしているsにそんな時どうしたらいいか聞いたら、考えてもしょうがないという答えが返ってきた。
sも上京してからそのような経験を沢山してきたみたいだけど、親に電話しても心配かけるだけだし、ただ泣いて泣くしかないと言われた。
解決策がないという答えにも、sがそんな経験をしてきたということを知らなかった自分にも驚いた。そして自分がひどく子供だということに改めて気付いた。


でも同時に、取り繕ったりせず本音で言ってくれてうれしかったなあ。sはいつもしっかり向き合ってくれて、重いけど温かい言葉をくれる。ありがとう。


そんなこんなで泣きたいような叫びたいようなどうしたらいいかわかんない混沌とした気持ちで家に帰るバスを待っていたら、ちびっ子にじいっと見られた。あなたもあと10年もしたら大変なのよ、と心で思った。