不思議がたまに口をあけてる

バイトが終わって外に出たら真っ暗で、そろそろ秋だねと思っていたら急に心細くなった。
人気のない住宅街を歩いていて、ふと前を見たらどこかの家の2階の窓一面におっきな満月が映っていた。ギラギラとしたオレンジ色で見てはいけないものと目を合わせてしまった気分になった。でも後ろを見てもうまく月は見つからない。窓にだけ存在する月。カサカサと枯れ葉が音を立て、後ろから急に自転車も来た。いつもの街が違って見えた。


でも大通りに出たら人も車もたくさんいて、上を見上げたら月は小さく高く白く、空もまだ少し明るかった。