こうやって記憶は更新されていくのだろうか

忘れられない月がある。


今年の冬に韓国に行っていた時に、朝一番で他の地方都市に旅行することになった。友達と6時すぎに集合して最寄の駅に向かった。冬だったからあたりはまだ暗くて寒くて、でも朝ぼらけの予感で満ちていて空気は新しくわくわくしていた。駅までは坂道を下ること15分くらいで、眠い目をこすりつつぼんやりと歩いていた。右側が車道、左側が住宅で道はレンガ造りで時々ぼこぼこしてて細い道で吐く息が白くて、そして左側に現れた小さな交差点みたいなところで突如、おおきな月と目が合ったのだった。それは低く強く大きく私に迫ってきた。うすい靄がかかっていたけれどもそれははっきりしていて、それはまだ私の記憶の中でも明確なのである。