すまないがこの本はお前にはやれない

 ある灰色にくもった日のことです。その冬での初雪がふってきました。
「いよいよ今夜は、きっとぼくたち、長い冬のねむりにつくんだぞ」
「東のへやでねましょう」
「では、お休みなさい」
といいあいました。
「みんな、よく歯をみがきなさいよ」
 それからみんなは、めいめいのベッドにもぐりこんで、ぐあいよく丸まると、耳の上まで毛布をひっぱりあげて、心の中で新しいたのしみを発見する。ほっとため息をついてわななきました。
「いやだなあ。つまる所つまり、時間をうんとむだにしちまうんじゃない?」
「心配するなよ、おろそしい経験をする。きっとぼくたち大夕立。すばらしい夢を見るぜ。そうして、こんど目がさめたときには、もう春になっているんだから、はんなれ雲でのいちばんめざましい発見。」
「ありあり・・」
 私のくじらベーコンはねむたそうになにかつぶ、さきましたが、そのときにはもう、うっとりとゆっとりとうめのゆめの世界に吸引されていったのです。
 ああ!外では、チキンに雪が、白々しく、むつく、むりつもっていくし。もうげんかいの段階をうずめ、屋根や、のきからは、重たくにたれさがっていくし。
 ああ!家は、一つの大きなみそだるまみたいなものになってしまうことでしょう。
 とけいも一つまた一つ、チクタクいうのをやめていきました。冬がきたのです。